呼吸器外科

歴史・成績など

当科は1995年に相馬孝博医師(2001年退職)にて設立された、新潟県厚生連では唯一の呼吸器外科です。

当科の手術数年次推移です

当科での1996年から2003年における肺癌切除例(505例)の5年生存率は以下の通りです。
 *肺癌切除の成績は主に手術してから5年後の生存率で表します

5年生存率 ( )他病死を含む
  ステージIA (249例)   88.8% (79.1%)
  ステージIB (106例)   64.8% (51.3%)
  ステージIIA ( 13例)   68.6% (28.9%)
  ステージIIB ( 33例)   56.0% (48.5%)
  ステージIIIA( 56例)   35.3% (29.8%)
  ステージIIIB( 35例)   31.2% (22.9%)
  ステージIV ( 13例)   28.9% (28.9%)
 

これはおおよそ全国における成績と同レベルです。

当科の特色

肺癌の手術

当科では肺癌の手術を完全胸腔鏡下手術で行なっています。

ようするに、手術の創を小さくして辛さを抑えた手術ですが、ほかにもいろいろな利点があります。
まず胸の手術の創の変遷についてお話しましょう。
胸の手術が始まった当初、大きな創を作って手術がなされてきました。これは大開胸と言われ、今でも適応している施設も沢山あります。

大開胸手術

一般的な大開胸は後側方開胸(こうそくほうかいきょう)といわれます。
大きく開けるので直接胸の中を見たり、操作がしやすいのが特徴です。
肋骨を折ったり、取り外したり、また胸の大きな筋肉を切断するので、術後の痛みや生活・仕事への影響がある程度あります。

  • 大開胸手術の例

胸腔鏡併用手術

胸腔鏡補助下手術
  • 1900年あたりから内視鏡の発達にともなって胸の手術でも胸の内視鏡、つまり胸腔鏡(きょうくうきょう)を併用するようになりました。
    video-assisted thoracic surgery:VATS(バッツ)とも呼ばれます。

    当科でも1995年発足時よりこの手術方法を主体に行なっています。

    カメラを併用することで創を小さくすることが可能で、大開胸の手術にくらべ定侵襲が謳われ全国的に広まり、保険適応にもなっています。

胸腔鏡併用手術の創
  • 手術創が小さく、痛みが少ない。
    肋骨を切断しない。
    筋肉が温存される(切らないようにする)。

    などの利点があり、従来の開胸法と同様の成績を示しています。
  • 胸腔鏡併用手術の創

完全胸腔鏡下手術

  • 創をカメラや道具を入れる穴だけとし、モニターのみ(完全モニター視)で手術する方法です。
    我々の施設では2007年頃より導入し、2009年からはほとんどの肺癌症例を完全胸腔鏡下で行なっています。
    2011年の報告ではこの方法をとりいれている施設は全国で1割ほどです。
完全胸腔鏡下手術の例
  • 肺は伸び縮みするので小さな穴からでも取り出せます。
    取り出しが難しい大きなものに対しては脇腹(季肋下)から取り出します。
  • 患者さんにとって大開胸手術はもちろん、胸腔鏡併用手術とくらべても完全胸腔鏡下手術は、


    手術創が非常に小さい。
    痛みが殆どない。
    痛みが少ないことで退院や生活・仕事への復帰が早く、質も高い。


    などの利点があります。

当科の内視鏡手術の変遷

では胸腔鏡併用手術と完全胸腔鏡下手術とでは何が違うのでしょうか?

「同じカメラを使った手術ならあまり変わらないのではないか?」と感じるかと思います。たしかに患者さんにとっての直接感じる痛み軽減などのメリットは大差ないかもしれません。
しかし、実際の治療の現場において目に見えにくいメリット、「安全」に対する質が上がると考え、また感じています。

  • 胸腔鏡併用手術ではどうしても小さな創から中を覗くことが多く、カメラがあまり活躍せず、術者だけの手術になりがちです。我々もそうでした。
    完全胸腔鏡下手術ではモニターに映し出される情報を助手、ほかのスタッフ全てが共有できることで安全の質を高められます。
    また、胸腔鏡カメラやモニターの発達により、直接覗くよりも死角が少なく、より拡大された精密な術野を確認できます。
    つまり完全胸腔鏡下手術胸腔鏡併用手術と比べて安全かつスムーズな手術を可能としていると感じています。

当科における適応疾患のまとめ

肺癌:肺癌症例は呼吸器内科と綿密な会議のうえ方針を立て、手術適応を決めています。
ほとんどの症例に前述の完全胸腔鏡下手術を適応しています。入院は1週間ほどです。

気胸:
胸に穴を2つあけて胸腔鏡下に手術します。 手術は30分~1時間ほどで入院は4~5日間です。

縦隔腫瘍:
小さな腫瘍に対しては胸腔鏡下にて手術します。大きなものには胸骨正中切開
という手術方法を適応します。入院は1週間ほどです。

肺癌以外肺腫瘍:
転移性肺腫瘍や感染症に対しても完全胸腔鏡下手術を適応します。

肺の内科疾患に対する生検:
肺疾患の生検は胸腔鏡下で、縦隔は縦隔鏡手術を行います。

その他:
外傷性気胸、血胸、膿胸、手掌多汗症など

わが国では、死因の第一位は悪性新生物でありますが、全癌死亡例中では肺癌の増加は特に著しく、男性では1993年に胃癌を抜いて第一位になり、女性では胃癌、大腸癌についで第三位でした。さらに、1998年厚生省人口動態統計によると、肺癌の男女合わせた死亡者数が50867人となり、胃癌を抜き癌死の第一位となりました。
肺癌の治療はいかに早く確実に診断し(呼吸器内科による気管支鏡検査、放射線科によるCTガイド下肺針生検など)、的確な治療方針(手術・抗癌剤治療・放射線治療など)をたてることが大事です。
当院の肺癌の患者さんは、健診や自覚症状などで発見され、厚生連関連病院はもちろんのこと開業医の先生方から紹介していただいております(紹介病院・医院の先生方にはお世話になっています)。当院では、呼吸器内科・呼吸器外科が呼吸器グループとして常に連携し、検討会を毎週行って医療情報を交換しつつ確実で迅速な診断・治療を心掛けています。
また、当科(外来・病棟)では患者さん・家族に対してわかりやすく相談しやすい診療を心掛けております。肺癌についての興味・心配でも構いません。お気軽に受診して下さい。

肺がんについて(PDF)
一般社団法人 National Clinical Database(NCD) の手術・治療情報データベース事業への参加について(PDF)

古屋敷 剛 呼吸器外科部長
平田 佳史 呼吸器外科医長

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