検査科
臨床検査には血液、尿など患者さんの身体から得られた試料を分析する検体検査分野と心電図や脳波、エコー検査のように患者さんの生体機能を直接測定する生理機能検査分野の2分野があります。疾患の診断や治療効果の判定を客観的に行う手段として実施されており、現代医療にあって不可欠なものとなっています。
長岡中央綜合病院検査科には約40名の臨床検査技師が在籍しており、認定輸血検査技師、超音波検査士、血管診療技師など各種学会認定を所得し、さらに多くの認定を目指し日々努力しております。
毎年実施される日本臨床検査技師会主催の外部精度管理では優秀な成績を得ており、精度管理保証認定施設に認定されています。また、日本医師会主催の外部精度管理、新潟県主催の外部精度管理も同様に優秀な成績を毎回得ております。
夜間・休日の緊急検査にも即時対応できるよう365日24時間常駐しております。
さらに中央採血室にて外来採血にも携わっており、輸血療法員会、ICTやNSTといったチーム医療にも積極的に参加しています。
臨床化学検査
臓器の調子が悪くなると、特定の物質が多くなったり少なくなったりして「ここが調子悪いですよ」と体が教えてくれます。
その物質をさまざまな方法で血液から検出し数値化することにより、診断や治療の目安となります。
臓器別の主な検査項目
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採血された血液を高速で回転させて分離(遠心分離)して得られた「血清」と呼ばれる黄色い液体部分で検査を行います。
この中には全身をまわって蓄えられた老廃物や酵素、ホルモンなどが含まれていてその物質を分析・数値化することで肝臓・腎臓・膵臓・心臓や肺などの病気の診断や治療の効果を知ることが出来ます。
また、人間ドックや健康診断にて化学検査を行う事で病気の早期発見に繋がることもあります。「血球」の部分には赤血球・白血球・血小板などが含まれていて貧血や白血病の検査(血液検査)に使われます。
免疫血清検査
肝炎ウイルスなどの感染症検査・ホルモン・腫瘍マーカー・薬物血中濃度などを測定しています。
・感染症
HBs抗原・HBs抗体・HBc抗体・HCV抗体・HIV抗体・プロカルシトニン
・甲状腺機能
TSH・FT3・FT4
・腫瘍マーカー
CEA・AFP・CA19-9・CA125・CA15-3・SCC・ProGRP・PSA・PIVKA-Ⅱなど
・薬物血中濃度
テオフィリン・ジゴキシン・バルプロ酸ナトリウム・カルバマゼピン・フェニトイン・タクロリムス
・ホルモン
hCG・コルチゾール・プロラクチン・黄体形成ホルモン・卵胞刺激ホルモン
・貧血検査
ビタミンB12・葉酸
一般検査
一般検査では尿検査、糞便検査、髄液、体腔液(胸水・腹水・関節液)などの検査を行っています。
尿検査は尿蛋白や尿糖、潜血等を調べ、さらに顕微鏡を使って尿中の細胞なども細かく検査しています。糞便検査では主に潜血を調べて大腸癌のスクリーニング等に利用し、髄液検査ではそれに含まれる化学成分や細胞を調べて髄膜炎等の診断に役立っています。
また糖尿病のスクリーニングなどに使われる血糖、HbA1cの検査も行っています。
尿検査
血糖・HbA1c検査
血液検査
採血された血液中の白血球の数、赤血球の数、血小板の数、ヘモグロビンの濃度などの測定を行っています。また顕微鏡で白血球の分類や形態観察や白血病細胞などの異常な細胞が血液中に出現しているかどうかを観察する検査も行っています。
凝固検査
血液の凝固能の状態を調べています。手術の前に血液凝固能に問題がないかを調べたり、ワーファリンなど抗凝固薬の治療効果や体内で異常な血液凝固反応が起きていないかを調べる検査です。
輸血検査
輸血用の血液が患者さんと適合するかどうかを調べるために、血液型検査、不規則抗体検査、交差適合試験などを行っています。
採血室
看護師と臨床検査技師が外来患者さんの採血を担当しています。 採血管準備装置BC-ROBOを使用して採血管を準備することで採血の漏れや患者さん間違いが起きないように注意を払っています。
微生物検査
人体に有害な細菌やウイルスを検査する部門です。
細菌検査は、主に痰や尿などの材料を染色して顕微鏡で観察し、培養をすることで原因菌を検索し、どんなお薬が効くか調べます。 コロナなどのウイルス検査はそれぞれの検査キットで陽性、陰性を迅速に判定します。
生理検査
業務内容は、心電図、ホルター心電図、呼吸機能、血圧脈波検査、運動負荷試験、聴力検査、脳波、神経伝達速度検査、誘発電位検査、各種超音波検査(心臓/経食道心臓/頚動脈/下肢静脈/健診腹部/腹部/乳房/甲状腺他)、放射線科検査モニタリング(心筋シンチ、心臓カテーテル検査)オペ室モニタリング(脳外科/整形外科)、睡眠時無呼吸症候群検査など様々な生理検査業務にあたっております。
常に精度の高い検査を心掛け、新しい検査にも積極的に取り組んでおります。また技術向上や新しい知識習得の為、講習会への参加、認定技師資格取得にも取り組んでおります。
患者様には、丁寧ですばやい対応を心掛けており、緊急時にはドクターや救急外来とも連絡を取り合い対応させて頂いております。
心電図検査
心エコー検査
診療実績
2024年度検査取り扱い件数
総取り扱い件数 2,493,820件(生理検査 49,617件を含む)
健康診断件数 73,804件
院外検査件数 48,885件
検査精度管理
臨床検査には、正確で信頼性が保たれていることが必要です。
そのために内部制度管理と外部精度管理を行って検査精度を常に保てるよう努めています。
内部精度管理
検査室にて一日複数回、各検査機器にてコントロール検体(値がわかっている検体)を測定し、必要であれば検査機器、試薬の再調整を行ってから測定に入ります。
外部精度管理
1)日本医師会 2)日本臨床衛生検査技師会 3)新潟県臨床検査技師会
それぞれの機関が主催する精度管理事業に参加して評価を受けています。
1) 日本医師会
年度 | 評価項目数 | 評価(%) | D評価 | 総合点数 |
---|---|---|---|---|
2019年度 | 50 | 98.2 | 0 | 643 (満点655) |
2020年度 | 50 | 98.2 | 0 | 643 (満点655) |
2021年度 | 50 | 99.2 | 0 | 650 (満点655) |
2022年度 | 50 | 96.9 | 0 | 635 (満点655) |
2023年度 | 50 | 97.6 | 0 | 639 (満点655) |
2024年度 | 50 | 98.9 | 0 | 648 (満点655) |
2) 日本臨床衛生検査技師会
年度 | 評価対象数 | A+B評価(数) | A+B評価(%) | C評価 | D評価 |
---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 239 | 237 | 99.2 | 0 | 2 |
2020年度 | 243 | 243 | 100.0 | 0 | 0 |
2021年度 | 262 | 261 | 99.6 | 0 | 1 |
2022年度 | 272 | 270 | 99.3 | 0 | 2 |
2023年度 | 266 | 264 | 99.2 | 1 | 1 |
2024年度 | 280 | 278 | 99.3 | 2 | 0 |
3) 新潟県臨床検査技師会
年度 | 評価対象数 | A+B評価(数) | A+B評価(%) | C評価 | D評価 |
---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 57 | 57 | 100 | 0 | 0 |
2020年度 | 59 | 59 | 100 | 0 | 0 |
2021年度 | 57 | 57 | 100 | 0 | 0 |
2022年度 | 60 | 60 | 100 | 0 | 0 |
2023年度 | 60 | 60 | 100 | 0 | 0 |
2024年度 | 60 | 60 | 100 | 0 | 0 |
スタッフ紹介

検査科部長
中野 正明
専門領域 | リウマチ・膠原病 腎臓病 臨床検査(血清・免疫) |
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認定資格等 | 新潟大学名誉教授・医学博士 日本内科学会 認定内科医 日本リウマチ学会 専門医・指導医・評議員 日本リウマチ財団 登録医 日本腎臓学会 専門医・指導医・功労会員 中部リウマチ学会 名誉会員 日本医師会 認定産業医 |
出身大学・卒年 | 秋田大学医学部 1979年卒 |
認定資格
(2025年8月10日現在)
取得資格 | 人数 |
---|---|
認定心電検査技師 | 3 |
JHRS認定心電図専門士 | 2 |
超音波検査士(循環器) | 5 |
超音波検査士(体表臓器) | 5 |
超音波検査士(消化器) | 1 |
超音波検査士(健診) | 5 |
乳がん検診超音波検査実施技師 | 6 |
血管診療技師 | 1 |
認定輸血検査技師 | 2 |
認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師 | 1 |
認定臨床微生物検査技師 | 1 |
認定一般検査技師 | 1 |
感染制御認定臨床微生物検査技師 | 1 |
二級臨床検査士(臨床化学) | 1 |
二級臨床検査士(循環生理学) | 3 |
二級臨床検査士(微生物学) | 3 |
緊急臨床検査士 | 1 |
新潟県地域糖尿病療養指導士 | 1 |
医療安全管理者 | 1 |
医療環境管理士 | 1 |
初級システムアドミニストレータ | 1 |
毒物劇物取扱責任者 | 1 |
有機溶剤作業責任者 | 1 |
特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者 | 1 |
臨床工学技士 | 3 |